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ボッチの僕が強烈な光を放つW君とBBQに行った思い出

僕は友達が少ない

photo by 僕は友達が少ない

かつて僕はぼっちだった。今もあんまり変わらないけど。

基本的に友達は少なく、あまり自ら積極的に増やそうとはしていなかった。

せっかく知り合って連絡先を交換しても「省エネだぜ」とか言って連絡とらない人はすぐにメモリから消していた。

少ない方が電話帳も探しやすいし、むしろ少ないことに喜びすら感じていた。

とにかく人見知りで他人と仲良くなるのが苦手。

そんな僕がある時、魑魅魍魎のリア充共が蠢く夏のイベント『ばあべきゅう』とやらに行った思い出を語ろう。

バーベキューのおもひで

BBQの思い出

それは、数年前の夏。僕が20代の頃の話だ。

こんな僕でもたまたま仲良くなったリア充の友達でW君という人がいた。

この子は僕の1つ下で、2,3か月前に別の友達経由で知り合ったんだけどとにかく誰とでも仲良くなれる超リア充気質。

とにかく人の懐に入ってくるのがうまい子で、僕みたいなミスターボッチでもすぐに仲良くなれた。

そんな彼がある日、僕をバーベキューに誘ってくれた。

どういう集まりか不明だが、参加人数は30人位、W君も知らない人がほとんどらしい。

W君「知らない人ばっかりで心細いし(笑)一緒に行こうよ!」

嘘つけ。(笑)ってなんだ。こっちは同じ状況なら笑い事じゃないぞ。

僕は悩んだ。激しく悩んだ。

なにせバーベキューなんて小学生以来したことがない。

でも僕は人付き合いが苦手なだけで、心の底では友達も増やしたいという思いもわずかながらあった。

向こうがミスターボッチの僕に色々と人脈を増やしてくれようとしているのはわかったし、せっかくの機会なんで、ってことでホイホイ誘いに乗っちまったわけだ。

そして当日、僕なりに一番おしゃれな服を着て、いっちょ前に髪の毛もセットなんかしてみた。

30人位くる中には女の子も半数以上いると聞いていたからだ。

白状しよう。僕はなんか淡い期待を抱いていた。恋のサマーセッション!とか考えてた。

そう、僕は恋の夏期講習を学びに行ったのだ。

「先生、この公式わかりません」

「あらあら、ここはAからBにやさしく変化する数式よ」

「こうですか。わかりません」

「あんっ、も、もっとゆっくり変化して、、い、いきなさ、い、いい!」

「こうですか。わかりません」

「んんっ!だめ、いや、ダメじゃない・・・!」

「こうですか。こうですか。こうですか。」

「せ、正解いいいいい!!!」

今考えると死にたい。

いざ当日海沿いの公園に行くと、あちこちで沢山の人が一心不乱にバーベキューをしていた。

公園はそれほど大きくなかったため、W君の姿はすぐに見つけることができた。

なんかクーラーボックスから色々と食材を出しているようだ。

すぐにこちらに気づいてくれた。

W君「あ、きたきた!おーい!」

僕「お、おう!け、けけ結構、混んでるな。やっぱりこの時期は、バババーベキュー人気なのかな」

W君「やっぱり今の時期はねー、あ、ちなみに周り全部うちらのグループだよ。てかそのTシャツカッコいいね!」

なんだと?公園内の人全員同じグループなの?50人位いねえか?

つーかさりげなく服をほめる辺りがやはりモテ男たるゆえんか。

ちょっとビビりつつも、気を取り直して今日はバーベキューを楽しむことにする。

しかし・・・。改めて周りを見渡してみてもやっぱり僕の知り合いはW君以外にはいない様だ。

W君「早速行こうよ!おーい、混ぜて混ぜてー」

W君は飲み物を手土産に近くの男女6人位で肉を焼いているグループを見つけるとさっさと輪に入ってしまう。

こ、こいつ・・・天才か?なんだ混ぜてって。僕の口からは絶対出てこないセリフだ。

申し訳なさそうに一緒にそのグループに混ぜてもらう僕。

W君はすぐに近くの人からトングを受け取って肉を焼いたり、野菜をひっくり返したりしつつも周りの子に話しかけている。

気が付けばものの5分もしないうちにすっかり溶け込んで談笑している。

あまりの早業に僕は半分白目になっていた。

W君「そーなんだ、アハハ。あ、肉焼けたよ!D子ちゃん皿貸してー」

D子「ありがとー、W君やさしー」

とにかく彼、複数のことを同時にかつ素早くそれでいて嫌味なくこなせる。

しかも周りによく見ているし、みんなにやさしい。

ちなみに僕にもよそってくれた。

そりゃ誰とでも仲良くなれるわけだ。

僕はもう死にたい。

ー1時間後ー

W君はもうすでに3か所位のグループをはしごして、どこに行っても盛り上がっている。

一方僕はと言えば公園の隅で電話をしていた。

いや、正直に言えば電話をしているフリをしていた。

最初のグループではW君とは裏腹に僕はイマイチ会話に参加できなかった。

W君が積極的に僕にも話を振ってくれるので、それに返す形で会話に参加しているのだが、すぐに話の輪から外れてしまう。

ある程度話をしたところでW君は別グループの友達に呼ばれそちらに引き抜かれる形で離れ離れになってしまった。

こうなったらもはや僕の居場所はない。近くの子が気を使って飲み物とかくれる。

「何を飲みますか?」

なぜか僕には敬語だ。

「あ、じゃあビール・・・」

「はい」

「ありがとウサギ」

すぐにいたたまれなくなった僕はW君が離脱して5分後、トイレという名目で同様にぽぽぽぽーんした。

トイレから出た僕は同じグループに戻ることなく、あちこちをフラフラしながらビールを片手に所在なさげにさまよっていた。

時々頑張って別のグループに入ろうと試みるが、グループのそばで挙動不審に立っているだけで何も話せず、結局すぐに去ってしまう。

そしてビールを飲みほした僕は気が付けば公園の隅で電話しているフリをしていた。

もうとにかく帰りたかった。ひたすら時間が早く過ぎるのを祈った。

時々、最初のグループの子が近くに来たが、僕は逃げるようにその場を離れその子と目が合わない様にした。

周りはすごく楽しそうだった。

ああ、やっぱり今回もこうなってしまった。

分かっていたはずなのに。

恋の夏期講習はあえなく赤点だった。

そして僕はビール2本と肉3切れ、玉ねぎ、焦げたピーマンの代わりに3000円の会費を払ってむなしく帰宅した。

W君には「この後用事あるから先に帰るわ!」と『次の合コンに行かなきゃなんだわ』風で声をかけて出ていった。

これはもう是非とも死にたい

ー帰宅後ー

帰ってからW君がこんなメールをくれた。

「お疲れー。今日はちょっと人多かったよね汗 途中あんまり話せなくてごめんね。また遊ぼう!」

アフターサービスまで完璧である。さすが顧客満足度No1だ。

終わりに

変わるきっかけ

このバーベキューは僕の心に深い傷跡を残した。

・・・・りはしなかった。

結果的にこの時のあまりのダメダメっぷりに絶望した僕は、その後、少しずつ積極的行動することを覚えていくことになる。

W君の振る舞いが僕の指針になった。

この時の悔しさ、後悔をバネにして少しだけ前に進めるようになったのだ。

今では、W君の様にとまではいかなくとも、もう少しうまくやれる。

電話したフリで時間を無駄にするなんてことはしない。

今思い出しても過呼吸になりそうな思い出ではあるが、僕の人生においてはプラスとなる経験だったのだ。

人生、何が糧になるかわからないものである。

おしまい。